宝塚歌劇団 星組御園座公演
「王家に捧ぐ歌」
作・演出は、木村信二。
オペラ「アイーダ」をモチーフにしている。
古代エジプトを舞台に、エジプトの若き将軍ラダメスと、
エジプト軍に捕らえられ奴隷となったエチオピアの王女アイーダとの悲恋を、
荘厳な音楽に乗せて華やかにドラマティックに描いた作品。
2003年星組初演。
2015年宙組で再演された。
2003年の初演を見た時、その華やかさと壮大なスケールに圧倒された。
楽曲もストーリーも何もかもが素晴らしく、
私が発表した1本物ランキングで堂々2位にランクインしている。
ラダメスを演じた、星組トップスターだった湖月わたるは、
長身でスケールも大きく、非常に役に合っていた。
アイーダを演じたのは、トップ娘役…ではなく、
男役2番手スターだった安蘭けい(後に星組トップになった。)
安蘭は、男役も女役も、正義の人も悪役も、和物も洋物も、
なんでもこなせるバイプレーヤー。
少し身長が足りないが、この時は、女役だったので気にならなかった。
エジプト王女アムネリスを演じたのは、トップ娘役だった、檀れい。
この人については…、まあ、いいかな…(^-^;
(詳しくは「オリジナル&舞台化1本物おすすめ7選」にて(^^)/)
演者もそうだが、舞台装置、衣装、音楽とすべてが素晴らしく、
この「王家に捧ぐ歌」は第58回芸術祭優秀賞を受賞したのだった。
再演された2015年版は、なんというか…(^-^;
ラダメスを演じた朝夏まなと(元宙トップ)も、湖月同様長身で、
湖月に似せたのか似てしまったのか分からないが、よく似ていた。
でも、湖月の方がよかった。
アイーダを演じたのは、トップ娘役だった、実咲璃音。
歌は上手い方なんだと思うが、声質がちょっと…。
ただ、これは好みの問題なので仕方ないとしても、
安蘭けいと比較すると、どうしても見劣りしてしまった。
そして、エジプト王女アムネリスを演じたのは、怜美うらら。
この作品は男役の出番が少ないため、
トップの次に目立つ役がアイーダとなり、その次がアムネリス。
この3人の出番がとても多く、
それ以外の役は、その他大勢的な感じになっている。
2003年星組公演は、アイーダを男役2番手が演じたため、
トップ娘役はアムネリスになった。
2015年宙組公演は、トップ娘役がアイーダを演じたため、
娘役2番手の怜美うららがアムネリスを演じることとなった。
(当時の宙組には、安蘭のような人材はいなかった。)
男役ファーストの宝塚において、
娘役が、2番手男役より目立つ役を演じるのは、ありえないこと。
そのありえないことをやってのけたにもかかわらず、
泉州池田銀行のイメージガールでありながら、トップ娘役になれなかった。
(基本的に企業スポンサーがついているとトップになる。)
これについては、いろいろ言われているが、不思議なことがたくさんあった。
ま、それは今回の記事とは関係ないので、置いといて…(^-^;
衣装も、2015年版は、金ピカに変更され、逆に安っぽい感じになった。
そして、何より違和感を感じたのは、ラストの歌詞やセリフ。
変更になったセリフはしっくりこず、
なぜ変更になったのか理解ができなかった。
そんな「王家に捧ぐ歌」
今回は、宝塚大劇場や東京宝塚劇場ではなく、
愛知県名古屋市にある御園座で行われる、いわゆる別箱公演。
*本公演…
本拠地である、宝塚大劇場と東京宝塚劇場での公演のこと。
*別箱…
御園座、博多座、梅田芸術劇場など、本拠地以外の公演。
トップコンビが主演することが多い。
公演時期は、御園座は2月、梅芸は7月、博多座は8月。
最近はコロナ禍&ホール不足で、梅芸は7月以外にも公演が行われる。
*全国公演…
いわゆる全国ツアー。
必ずしも、トップコンビが主演とは限らない。
*バウホール(宝塚大劇場内にある)公演…
若手スターが主演する。
バウホール公演を行うと、東京で公演することもある。
別箱や全国公演は、1つの組を2つに分け、
2つのグループが別々に公演を行っているので、人数は少ない。
今回の場合だと、御園座公演組と、バウホール組。
トップが所属する方が少し人数が多くなる。
「王家~」は、2回とも大劇場で見てるので、どうかなあ…と思ったり、
ましてや、宝塚でも長身だった2人が演じたラダメスを、
比較的小柄な礼が演じてどうなるんだろう…?
と、いろいろ考えてはいたが、
行く気満々だった父親がチケットを取ってくれたので、観に行くことにした。
しかし!!
公演初日前に、新型コロナの関係で初日から17日まで中止に。
私が持っていたチケットは、26日の前楽公演。
中止になったら、お父さん泣いちゃうよ…(笑)
なんて、思ってたら、16日に上演が決定した!!
良かった(*^^)v
今回の席は1階9列サブセンター。
オーケストラピットがないので、超近い!!
演出家・木村信二氏は、御園座で再演が決まったと聞き、
「困ったな。」と思ったという。
というのも、大劇場より舞台が小さい御園座では、
大劇場で使用していた大道具は使えない。
そのため、御園座版「王家に捧ぐ歌」は、
豪華絢爛、ゴージャスな大劇場公演から一転!
コンテンポラリーな舞台装置になっていた(゚д゚)!!
例えるなら、古典的なボリショイバレエから、
現代的なアメリカンバレエシアターに変わった感じ。
(どんな説明…(^-^;))
そして衣装も、無駄なものを一切省いたシンプルな感じになっていた。
演出家・木村氏曰く、
「米軍のM65を基調とした衣装に身を包んだラダメスが、
エジプトの大地を駆け抜ける。
真っ白な、よりモダンな。手にはエジプト古来の青銅の剣。
傍らには、ソウル・シンガーのようなアイーダ。
旧来の舞台装置、衣装で公演するより出演者もきっと喜ぶだろうと思ったら、
アイデアが止まらなかった。」という。
歌、芝居、ダンスが上手いトップスター・礼真琴に、
舞台装置を新たにするのに、昔ながらの衣装を着せるのは…というのが、
そもそもの始まりだったという。
公演を観る前は、ポスターやパンフ、PR映像などを見て、
あまりにもシンプルで簡素な感じに落胆。
「王家~」は、ゴージャスさが売りなのに…と残念に思っていた。
しかし、観劇後、あの舞台には、あの衣装だ!!
あれ以外に正解はない!とさえ思った。
ラダメス(エジプトの将軍):礼 真琴
2009年主席入団。95期生。
2019年星組トップスターに就任。
スケールの大きいラダメスを、小柄な礼が演じてどうなのか…。
(公称身長は170㎝だが、多分165㎝あるかな?くらい。)
舞台の小さい御園座なら大丈夫なのか…?(←オイ(^-^;)
などと思っていたが、そんな心配は全く必要なかった。
(当たり前…(^-^;)
歌やダンスには定評のある彼女。
舞台装置がシンプルになった分、礼のダンスが増えていた。
殺陣(和物じゃないから違うか(^-^;)や、剣舞など、
改めて礼はスターなんだと実感させられた。
そして、今回の変更でシンプルになった衣装。
以前の「ロミジュリ」でも衣装変更でパーカー姿になっていた。
礼はゴージャスな衣装は着せてもらえないのか?(笑)
と思ったりもしたが、結局のところ彼女には一番合っていた。
アイーダ(エチオピア王女):舞空 瞳
2016年主席入団。102期生。
2019年星組トップ娘役に就任。
初舞台公演から一人抜きんでていた彼女。
研4(研究科4年=入団4年目)の速さでトップ娘役に就任。
今回、星組で「王家~」をやると発表があった時、
きっと素晴らしいアイーダになるだろうな、と思っていた。
その予感は的中した。
歌も上手く、彼女のアイーダは素晴らしかった。
ただ…、総合的に判断すると、
2003年星組公演の安蘭けいも捨てがたいんだよな~。
そして、後日購入したブルーレイを見て思った。
安蘭けいのが断然いい。
舞空さんは若いから、今後に期待って感じかな♬
アムネリス(エジプト王女):有紗 瞳
2012年入団98期生。
泉州池田銀行イメージガール。
「ロミジュリ」で乳母を演じた、そこそこの実力派。
(ただ、乳母は路線娘役が演じる役ではないが…。)
男役3番手より目立つ役に抜擢された彼女。
(男役2番手は別箱出演中。)
男役ファーストの宝塚において、
男役3番手より娘役が目立つのというのも稀である。
(男役4番手、5番手より娘役2番手のが格下は普通。)
(男役2番手、3番手よりトップ娘役が格下というのもありえる。)
2015年宙組公演でアムネリスを演じた怜美うららも、
泉州池田銀行イメージガールだったが、トップ娘役になれずに退団した。
なんか被る…(^-^;
ま、それはいいとして、、、
アムネリスは、どうしても初演の檀れいのイメージが消えない。
前回の怜美うららも、檀れいに似せてる感じはした。
しかし、檀れいの迫力には勝てなかった。
今回の有紗瞳は、檀れいより圧倒的に歌は上手かった。
しかし、檀れいの迫力には敵わなかった。
(ブルーレイで確認してもそう思った。)
世間一般の評価と宝塚での実力が伴わない檀れいだが、
このアムネリスは、まさに彼女そのもの。
誰が演じても、檀れいと比べてしまうのだった…(^-^;
ファラオ(エジプト王):悠真 倫
1995年入団。81期生。専科生。
アモナスロ(エチオピア王):輝咲 玲央
2006年入団。92期生。
2003年版と2015年版では、ファラオは箙かおる、アモナスロは一樹千尋と、
共に専科のベテラン2人が演じていた。
それに慣れてしまっているので、違う人が、
しかも若い彼ら…、いや、彼女達が演じて果たしてしっくりくるか…?
って思ってたら…!(゚д゚)!
悠真さん、上手すぎ!!
違和感ないどころか、箙さん以上に良かった!!
アモナスロの今回の衣装は、DJKooさんのようになってたけど、
それも違和感なく、今回の演出にはマッチしていた。
ウバルド(アイーダの兄):極美 慎
2014年入団。100期生。
「換気にプラス」でおなじみ?ダイキンのCMに出演。
役が少ないこの作品は、
ラダメス、アイーダ、アムネリス以外は「その他大勢」になっている。
番手でいくと、男役2番手(2003年版は男3)が演じる。
2015年宙組公演の時にウバルド演じた真風涼帆は、
現在の宙組トップスターだ。
極美慎は、最近の星組の注目株。
175㎝の長身に手足が長く超小顔。
星組は、柚希礼音がトップになったあたりから長身の組子が多い。
(それ以前は、宙組に長身の人を揃えていた。)
(組子…その組に所属するジェンヌのこと。)
本来ならウバルトは、瀬央ゆりあ(2番手?)だろうが、
瀬央は、バウホールに出演中のため、3番手?の極美に。
しかし、瀬央も、極美もいまいち弱い。
瀬央が2番手で星組大丈夫…?と思っていたら、
月組のアイドル、暁千星が組替えしてくることになった。
この異動が物議をかもしている(多分…。)
というのも、暁は、現在月組の3番手。
男役の組替えは、番手が上がる時か、
路線男役が来るため、邪魔になり(言い方(^-^;)出されるケースがある。
月組のプリンス・暁千星が路線から外れるとは考えられない。
とすると、男2→暁、男3→瀬央、男4→極美となるだろうが、
これがなかなか難しいところなのだ。
というのも、暁は、2012年入団の98期生だが、
瀬央は、2009年入団の95期生。
つまり、瀬央のが上級生なのだ。
実力主義の宝塚だが、年功序列も存在する。
あきらかに路線から外れている上級生なら問題ないが、
瀬央は一応路線。
暁を2番にしたいけど、瀬央が上級生の場合、
今までだったら、瀬央を別の組に異動させていた。
しかし、今回それはない。
そのため、真風(宙トップ)が退団フラグで、
次期宙トップ芹香(現宙男2)の下に瀬央が異動する?
でも、それだと、瀬央と同期の宙男3の桜木が怒るか…?
いや、でも、桜木はないだろう。。。
と、悩みはつきない。。。(~_~)
はぁ~、難しいなあ、人事って…(+_+)
(いや、あんたが考えることじゃないよ(^-^;)
カマンテ(エチオピア家臣):ひろ香 祐
2009年次席入団。95期生。元中日、阪神、大豊泰昭の娘。
父親に「あの子が大豊の娘だよ。」と言ったら、
「男みたいだ!!(゚д゚)!」と言っていた(^-^;
サウフェ(エチオピア家臣):碧海 さりお
2015年入団。101期生。
ウバルト、カマンテ、サウフェはいつも3人で登場する。
極美と大豊の娘に気をとられていたので、碧海の印象はあまりない(^-^;
この日は全国の映画館でのライブ中継と、
「Rakuten TV」「U-NEXT」「dTV」などのライブ配信もあった。
この公演のA席チケットは9000円だったが、
(御園座での宝塚公演は、A席とB席しかない。)
映画館は4400円、ライブ配信は3500円。
う~ん、それだけするなら、DVD買った方がいいなって思ったら、
なんとこの日は、ブルーレイ収録日だった!!
終演後に父親が、
「礼が「本日は、ブルーレイ収録日です!」って言った時、
「買うよ~~~。」って言おうと思ったけど、やめた。
映像に変な声が入ったらヒンシュクだよね。。。」って(゚Д゚;)
「今の時期、声を出したらだめでしょう(~_~;)」
「あ、そっか!」って( 一一)
全く。。。
ま、でも今回は父親がチケットを取ってくれたおかげで観れたから、
よしとするか…(^-^;
そしてこちらが、そのブルーレイ(*^^)v
映像は3割減のはずだけど、礼の歌は上手かった♬
おまけ(^^♪
2022年御園座星組公演ダイジェスト(TCAピクチャーズ)
https://shop.tca-pictures.net/ec/shop/sttc/shop_movie/index.html?bctid=ref:TCAB-178
こちらは2015年宙組公演前夜祭の様子。
2003年初演時の星組メンバー(湖月、檀、安蘭)も出演してます(*^^)v
舞台の大きさで小道具や衣装が大きく変わるんですね(@_@)
人事はピラミッド型になっている以上、下剋上で厳しいですね。
宝塚のスターは辞められてもいくらでも仕事はある様ですがプライドも有って負けたくないのが本音でしょうか?
それにしてもtabisurueiyoushiさんは宝塚についてお詳しいです\(◎o◎)/!
各々のスターについての好き嫌いがあっても組単位では拘っておられないようですね(*^_^*)
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wakasahs15thさん、こんにちは(^^♪
宝塚大劇場の舞台は出演者が多いので(初舞台生(新入団生)がいる公演だと出演者は100人以上になります)劇場は広く、大道具も大きくなります。なので宝塚や東京宝塚劇場以外の舞台だと、組子全員舞台に立つのは難しいでしょうし、大道具も入らないと思われます。基本的に本公演と別箱と演目が違うのは、そういう理由かと思います(^^)/
入団した時から、トップになる路線の人とそうじゃない人というのがあるので、路線の人が外れることはありますが、路線外から路線に乗るのは非常に難しいと思います。同じ路線でも後輩のが明らかにスター性があれば上下は逆転しますので、厳しい世界ではありますね。
全員が全員トップになって…とは思ってないとは思います。
宝塚を退団しても仕事があるのは、元トップだった人ぐらいで、元トップだったとしても芸能界で活躍できてるのは、ほんの数人だと思います。
芸能界とは全く違う世界に行く人も多いですね。
今は昔と違って、組カラーもなくなってますし、何組が好き!という人は少ないと思います。
好きなスターさんがいるからこの組が好きって感じの人が多いと思います(*^^)v
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退団後にも活躍されているのは一握りなんですか(@_@)厳しい競争の中で頑張っても寂しい話しですね。
私は殆どの方が芸能界や放送の業界で活躍されていると思い込んでいました。
あくまでスター本位なんですね。トップスターはある意味で責任が伴いますね(*^_^*)
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芸能界を目指したい人であれば、最初から芸能界を目指し宝塚には入ってないと思うので、退団後に全員が芸能界を望んでない結果でしょうね(^.^)
まあ、望んでもダメな人も多いですが…(^-^;
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安蘭けいさんって娘役でもすごい存在感の方だったのですね。
歌の発声なども全く違いそうなのにすごい!
豪華バージョンと、最新洗練バージョンの見比べをすると面白そうな作品ですね。
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yukitabitonさん、こんにちは(^^♪
安蘭けいさんは、ちょっと身長が足りないのと、(噂では)国籍問題があり、トップ就任が遅れたと言われてます。
でも歌も上手いですし、色気もありましたし、人柄もいいし、話も面白いし(笑)、すごい人だったと思います(^^)/
もし、機会がありましたら、ぜひ見比べてください!
その時は2003年星組公演と2022年星組公演をお薦めします(^_-)-☆
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身長と国籍はご本人様の力の及ばないところで、才能と努力がすごい人なんでしょうね。
見比べは2003年と2022年メモしておきます!
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こんばんは
お父様も宝塚ファンなんですか
最後のやり取りが面白い
劇場に寄って色々変わるんですね
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makoさん、こんにちは(^^♪
元々は父親がファンでした(^.^)
色々目立っちゃう人なので困ったもんです(笑)
一番の理由は舞台の大きさでしょうね。
宝塚の本拠地は、出演者も多いので舞台も大きく、大道具も大きいようです。
別箱公演の時、出演者を半分にするのは、舞台のサイズ問題があるだろうな~と思ってます(*^^)v
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エジプト!だからなのでしょうか。お化粧の仕方がちょっと違うような気がします!(^^)!素人の見方ですけど。
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slecfarmさん、こんにちは(^^♪
さすがです!!
この公演時は、みなさんエジプトっぽくメイクされてます(*^^)v
全然、素人じゃないじゃないですか~(^_-)-☆
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