薬膳料理は何料理?

薬膳料理と聞いて、何料理を思い浮かべるだろうか。
大多数の人は、中国料理をイメージするのではないだろうか。

それは薬膳料理の定義とは違う。

薬膳とは、中国伝統医学に基づいた食事療法で、
菜食同源、医食同源の観念によって、
疾病を予防、治療、または健康回復、強身益寿を目的とするもの。

こうやって書くと、なんだか小難しいが、簡単に言うと、
「オーダーメードの食事」のこと。

では、注文して作ってもらったら薬膳料理なのか?
そうではない。

その人の体調、症状に合わせて作られた食事のことである。
体調、体質の判断には、四診(望診、聞診、問診、切診)で行う。

望診は、顔色、舌の状態、瞳の色、皮膚の色など
聞診は、口臭、体臭、声など
問診は、患者の主訴などを聞く。
切診は、脈診、腹診など。

ちなみにこの脈診。
中医師は、片方の手で、順番に両手の脈をとる。
漢方医は、両手で、同時に両手の脈をとる。

私は、片手で脈をとる、中医師のやり方を教わった。
以前、北里大学東洋医学研究所へ行った時は、両手で脈診された。

中医師は、28種類の脈をとる。
速さ、強さだけでなく、脈の状態、深さなど。
そのため、片手で順番に脈をとる。

漢方医は、28種類の脈はとらないが、腹診を行っている。

ちなみに、
東洋医学は、アジアやインドなどすべて含まれるため、中医学と同じではない。

日本でいう、漢方。
これは、日本で独自に発達したもの。

江戸時代、鎖国中の日本にはオランダから医学が入った。
それを蘭方という。
それ以前、漢の時代のものを、漢方と区別した。

さて、薬膳に話を戻そう。
例えば、「便秘」という症状があったとする。

西洋医学で対応するならば、下剤を飲むだろうか?
それとも運動する?
冷たいものを飲んでみる?
食物繊維をとってみる?

以前は良かった対処法が、今回は駄目だった…そういうこともあるだろう。
効果がでなかったのは、対処法が体に合ってなかったということになる。

一言で「便秘」といっても、原因はいろいろある。

冷えているのか。
熱を持っているのか。
食べすぎなのか。
食べなさすぎなのか。

原因によって、対応は変わる。

冷えている人には温め、熱を持っている人には冷やさなければいけない。
冷えからきている便秘の人を冷やしてしまっては逆効果。
同じように、熱がある便秘の人を温めてはいけない。

どうしてその症状が現れたのか、その原因を見極め、
その症状が改善するため、その人に合わせて作られた食事。

それが薬膳料理である。

だから、薬膳料理は中国料理とは限らない。
日本料理でも、イタリアンでもフレンチでもありえる。

例えば、「サーモンとほうれん草のグラタン」という料理があったとする。
グラタンなのでチーズを使っていることも多いだろう。

チーズはカルシウム、
サーモンはビタミンD、
ほうれん草はビタミンKが含まれている。

骨を丈夫にするためには、カルシウムを摂取するだけではだめ。
同時にビタミンKを摂る必要がある。
そして、ビタミンDはカルシウムの吸収を促進させる。

つまりこの食事、”骨を丈夫にする”、素晴らしい組み合わせなのだ。

普通に「グラタン作ったよ」と提供したなら、おいしい食事。
もし、”骨を丈夫にしたい”という目的のために作られたのであれば、
この「サーモンとほうれん草のグラタン」は薬膳料理になるのだ。

人それぞれの体調を見極めて、
体質に合う食品を選び、症状改善や、健康維持のための食事。
薬膳料理は奥が深い。

薬膳料理は何料理?” への15件のフィードバック

  1. 本来の薬膳料理は奥が深いんですね。日本で良く薬膳料理と表示されているのを見かけますが、これは極々一般的な疾病の予防程度でしょうか?確かにtabisurueiyoushiさんが言われるように、その人の体調を検診し、その状態によって薬膳料理を作ればバッチリですね。でもコストが大幅に高くなる可能性があるような気がします(^_-)-☆

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    1. wakasahs15thさん、こんにちは(^^♪
      多分お店で出してるものは、気力が衰えてる人向けに作られていることが多いと思います。
      あとは、美肌とか、アンチエイジングとかで作っていると思います。
      何かの為に、目的をもって作るのが薬膳ですから(^.^)
      確かに、すべてきちんとやろうとすると、コストが高くなると思いますが、
      寒いから体を温めるもの、暑いから冷やすもの、とかそういうことを考えて食べるもの薬膳ですよ(*^^)v

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      1. そうなんですね!私は冬瓜が身体を冷やすのでいいと中国の方に教えてもらったので夏には必ず冬瓜を食べています。これも薬膳だったんですね(^_-)-☆

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    1. egaonomahoさん、こんにちは(^^♪
      完璧な薬膳料理を毎日考えるのは、大変ですが、
      自分は気滞血瘀なので、まわしていこう、とか、活血のものをとか、考えてはいます(^.^)

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  2. それは heaty だから(フライ物など)それは辞めといた方がいいとか、これはcooling だから(メロンなど)食べた方がいいとか、シンガポールに住んでいる時に良く聞きました。華僑が多く建国された国で、母国(中国)から代々受け継いできた知恵なんでしょうね。

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    1. saishokusyugiさん、こんにちは(^^♪
      そうですね、中国系の方は本当に食材や食事に関して気を使ってます。
      私は冷たいものが大好きなんですが、間違っても体を冷やすようなものをたくさん食べるということをしません。
      病院実習でも思ったのですが、中国の人の生活に、中医学が本当に根付いているんだなあ、と実感しました。

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      1. 私も風邪ひいている時などはフライものやカレーみたいな唐辛子のようなスパイシーなのは自然避けるようになりました。逆に暑い時はきゅうりにしたり。シンガポールは熱帯で、すぐ体もヌクヌクとするのでheatyに気をつけることが多いようです。

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      2. さすがですね。もう、saishokushugiさんの体にも根付いてますね(^^)/
        油物は体に熱をためますからね。
        私の薬膳の先生(中国人)が、病気じゃない限り、体が欲するものを食べればいい、と言ってました。
        暑い時は冷たいもの、寒い時は温かいものって感じで。
        その先生も冷たいものを食べる習慣はなかったそうですが、日本にきて冷たい飲み物を飲むようになったそうです(*^^)v

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    1. KYOさん、こんにちは(^^♪
      コメント、ありがとうございます(^.^)
      私も、KYOさんのおかげで、写真の容量問題が解決できました(*^^)v
      ありがとうございます(^^)/

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  3. 薬膳料理をオーダーメイド料理と捉えるならば、ノルウェーにも薬膳料理はあるのでしょうか。
    ここ数年、白樺花粉症の症状が悪化して食物アレルギーまで発症しました。
    これからは少し食べるものにも注意をしなければいけないなぁ・・・。
    またブログ拝見させてくださいね。

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    1. chiharusawakiさん、こんにちは(^^♪
      コメント、ありがとうございます(^.^)
      目的をもって作った料理が薬膳料理なので、ノルウェー料理でもありえます(^^)/

      花粉症のchiharusawakiさんのために、花粉症を緩和するための食事を作れば、それは薬膳料理ですね。
      原因がいろいろあるので、一概には言えないですが、薬膳的には、甘いもの、脂っこいもの、冷たいもの、生ものは避けた方がいい食品ですね。
      ただ、ひどい場合は、やはり薬が必要かと思います…”(-“”-)”

      国が違っても、花粉症は存在するんですね。。スギ花粉よりお洒落な感じもしますが…(-_-;)
      運がいいのか、私は花粉症ではないですが、花粉症の友人はつらそうです(>_<)
      お大事にしてください。
      これからもよろしくお願いいたします(*^^)v

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